「しょっつる」という調味料を聞いたことはありますか?秋田県発祥の魚醤(ぎょしょう)のことをしょっつると呼ぶのですが、郷土料理の「しょっつる鍋」の味付けのベースになっている調味料のことです。今回は、この気になるしょっつるについて調べてみることにしました!ついでにしょうゆとの違いも説明しようと思います!
しょっつるの代用になる調味料はあるのでしょうか?!日本に限らず、各国の魚醤についてお伝えしたいと思います!
しょっつるってなに?しょうゆとの違いとは!?
日本三大魚醤の一つである、「しょっつる」。秋田県沿岸部で江戸時代初期から作られていた魚醤です。この「魚醤」とは、名称の通り魚から作られる調味料のことですね。大豆と麹、塩から作られる醤油とは違い、主に魚と塩を熟成させたものが魚醤と呼ばれれています。
中でもしょっつるは、秋田県で良くとれていたハタハタという魚を熟成させて作られています。ハタハタといえば、漢字では「鰰」と書き魚へんに神!どうして神が漢字のつくりなのかというと、雷が鳴く荒れた海で良くとれた魚だったからだとか(所説あります)。
ハタハタから作られる魚醤には、安価のオスが使われているそう。ハタハタのメスには「ぶりっこ」と呼ばれるタマゴがぎっしり詰まっていますので、秋田県では昔からお正月などのハレの日のごちそうとしてふるまわれていました。タマゴがないオスは郷土料理の「ハタハタ寿司」や「しょっつる」として変化を遂げていたのですね。
しょっつるの作り方!
さて、しょっつるとはどうやって作られるのか、ご紹介しましょう。原料となるハタハタの頭と内臓、尾を取り除いて塩をまぶします。この時の塩は、魚に対して30~40%。よく混ぜ合わせ、1年以上常温で漬け込み、タンパク質の分解を進めます。つまり発酵させるのですね。
塩分が多いのは、腐敗を防ぐためですので、定期的に撹拌(かくはん)し、塩分濃度が均一になるようにします。魚を塩に漬け込んでから3日~1週間ほどしたら塩水が赤く変化するのだとか。生臭さを消すために、煮沸処理やろ過などをしていたと1970年代のしょっつるの調査で記録があったそうです。
現代では、しょっつるの熟成を窒素量などから判断し、1~2年で熟成終了となるそうです。分解されなかった骨などを除いて煮沸処理します。熱処理することで、エキスが凝縮されることやタンパク質の凝固が促進され、ろ過しやすくなります。透明に近いしょっつるの方が商品価値が高いとされていたため、何回も複数回に渡ってろ過していたようです。
自家製でしょっつるを作るときは、麹も使われるそう。麹を一緒に漬け込むと風味がよくなるとのこと。魚8:塩1:麹1で漬け込み、1~2年かけて熟成させていたといいます。しかし、20世紀前半までは秋田県周辺の沿岸部の多くの家庭で作られていたしょっつるも1980年代には極めて少なくなったそう。現在は秋田市、能代市、にかほ市で6か所の工場にてしょっつるは製造されています。
しょっつるが醤油と違うのは原料が魚なのか大豆なのかという単純なことなのですが、全く違った風味やうま味を楽しむことが出来ますよね。
しょっつるとは味が違う?他の魚醤とは?
しょっつるはハタハタが原料となっていますが、漁獲量が多く安価で鮮度の高い魚が魚醤作りに向いているとされています。他の魚を使った魚醤の特徴をご紹介します。
- ハタハタ…12月にとれたものが最適。安価なオスが多く使われます。淡泊なスッキリとした味。
- イワシ…淡泊な味。癖は少なく、「いしる」の原料となっています。甘みもあります。
- アジ…味が淡泊で癖がないので料理に使いやすい。
- サバ…うま味あり。しかし刺激臭もあります。
- コアミ…独特なにおいや渋味あり。
日本で作られている魚醤で、日本三大魚醤と呼ばれているのはハタハタが原料の秋田県の「しょっつる」、石川県の「いしる」「いしり」、香川県の「いかなごしょうゆ」。石川県の「いしる」はイワシやサバが主な原料、「いしり」はイカの内臓を熟成させた魚醤。こちらはイカが原料なので、クセがあるそうですが美味しそうですよね!
香川県の「いかなごしょうゆ」はイカナゴという小魚が原料。とてもとても塩分濃度が高く、28~29%もあるんだそう。普通の醤油の塩分濃度が16%前後といわれていますので、塩辛さが想像できますね。でも、魚のうま味が強く感じされるので塩辛さは感じられないすっきりとした味わいが特徴。いかなごしょうゆは生産者が激減してしまっていますが、香川県の名産品として生産が再開されているそう。嬉しいですね!
しょっつるの代用に使える!最適調味料とは!
しょっつるは郷土料理のしょっつる鍋やラーメンのお出汁や、男鹿のB級グルメのしょっつる焼きそばにも使われています。すっきりとした味わいの魚醤は、塩味があう料理に最適ですね。しょっつるはそんなに頻繁に使わないという方のために、しょっつる風の料理をご紹介!
魚醤で有名なのはタイの「ナンプラー」ですね!しょっつるよりも手軽に手に入る調味料です。ナンプラーは焼きそばなどの炒める料理に合います。少し東南アジアの風味がありますが、塩味と魚醤のうま味がマッチしますね。
しょっつる鍋は、実はしょっつるの味ではないんですね…。ハタハタが入っている塩味の鍋のことをしょっつる鍋と呼びます。ハタハタの魚のうま味が鍋の出汁の決め手となっています。ハタハタが手に入らない時に、しょっつると白身の魚でしょっつる鍋風のお鍋を楽しむことが出来ます。
しょっつるの意外な使い道!
和風なイメージの強いしょっつるですが、淡泊ですっきりとした味わいから、洋食にもよく合います。試していただきたいのは、パスタ!きのこやエビなど、あり合わせの食材でもしょっつるが加われば、魚のうま味成分が広がって美味しいですよ!
塩味なので、野菜との相性が抜群なしょっつるは醤油の代わりに隠し味として使っても。炒め物にも煮ものにも美味しいしょっつるの魅力が、まだまだ発見できそうです!
まとめ
- しょっつるはハタハタが原料の魚醤!
- しょっつるなどの魚醤は魚、塩がメイン!醤油は大豆がメイン!
- 日本三大魚醤は秋田県の「しょっつる」、石川県の「いしる」「いしり」、香川県の「いかなごしょうゆ」!
- しょっつるの代用になるのは、タイの魚醤「ナンプラー」!
なかなか調味料としては敷居が高そうに思えていた「しょっつる」ですが、調べてみると意外にも使い勝手のあるものでした!お鍋の他にもいろいろな料理に活用していきたいですね!